2016.09.22

矢中の杜活動史 第8回—昭和の生活道具たち

こんにちは。矢中の杜活動史、第8回目です。
前回は文化財の話題から調査のことを書きましたが、今回は邸宅掃除の話に戻ります。
早川さんの、Visionを考えるワークショップの話題の後なので若干書きづらいのですが(笑)、掃除のときのプチエピソードとして、邸宅に眠っていた家具・道具について、お話しできる範囲でご紹介します。

旧矢中邸は昭和40年代から空き屋になっていましたが、家財道具をそのままにしてあったので、当時の家具や道具がたくさん残っていました。

代表的なところでは、テレビ、レコード、足踏みミシン、最初の頃の電気炊飯器、木製冷蔵庫といった家具・家電です。これらは普段からご紹介しているのでここでは特筆しませんが、僕にとって印象的だったのは、このような活動をしていると、実際に使ってみる機会があるということです。レコード盤を持ってきて生のレコード音楽を聴いてみたりもしましたし(昭和晩年生まれの僕にはレコードを聴く機会はありませんでした)、とある方から氷の板(昔、氷屋さんが売っていたという、冷蔵庫内を冷却するための氷の塊です)をいただいて木製冷蔵庫に入れてみたりもしました。僕の世代にとっては博物館や図鑑でしか知らない道具たちですが、実際に使ってみて、例えば冷蔵庫は意外と冷えるものだと体感できるのはとても貴重ですし、このような部分が、「ふるくて、あたらしい」のだと思っています。

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麦茶を冷やしてみました。真夏でしたが、結構冷たくなるのです。
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特筆しないつもりだったのに長くなってしまいました。続いて、少し変わり種でいうと、居間のテレビの上に飾っている按摩機(マッサージ機)。その形からは何に使うのか全く想像がつきませんでしたが、恐る恐るコンセントに差してスイッチを入れると、全体がブルブルと震え、用途を理解しました。試しに肩に乗せてみた感想は…、うーん、レトロな使い心地、といったところでしょうか(笑)
紹介したかったのですが、写真は持っていませんでした。ぜひ、お越しの際に探してみてください。

面白いものでは、「寝転びながら本を読めるスタンド」なんてものもありました。見つけた瞬間の感想は、なんていうか…、すごく欲しい(笑) 寝転びながら本を読んでいると、すぐに腕が痛くなってきて、身体の向きを変える羽目になって、それが面倒で読むのをやめしまうのとか、読んでる間に寝てしまって顔に本が降ってきて痛いのとかが全て解消される優れモノ。しかしスタンドがあればとは思ってもみなかったですが、昔実際に造ってしまった人がいたとは驚きました。人間、昔も今も変わらないものですな。

それから、矢中龍次郎氏の発明品や研究成果も収蔵されていました。看板商品であるマノール(セメント防水剤)の容器などは多数ありましたが、一風変わった商品として、長寿枕なども。現在、女中部屋に飾ってありますが、竹で編んだ枕です。
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箪笥の上のものが長寿枕です。

押入には鍵のかかった金庫がありました。かつては地元の方々に「矢中御殿」と呼ばれた屋敷ですから、金銀財宝がごっそり眠っているのではないかと、ちょっぴり期待するわけです(笑) オーナーの期待を背に、ダイヤル錠だったので、回したときに微かにカチッという音がするのを頼りに探っていったところ、なんと開けることに成功しました! 中から出てきたのは金銀財宝…ではなく、瓶に詰められた朝鮮人参のサンプルでした。龍次郎氏の貴重な研究成果ですが、それを見た時のオーナーのちょっとがっかりした顔は忘れられません…。「龍次郎さんのこと その1ー龍次郎さんと朝鮮人参」の冒頭の金庫と朝鮮人参は、こうして発見されたのでした。

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番外編。押入の片付けはこんな感じでした。

今まで屋内のことを話してきたので、次は屋外編にしましょうか。永遠のテーマ、草取りについてお話ししたいと思います。


次回の公開は24日(土)です。
つくばも涼しくなったでしょうか。邸宅が涼しく気持ちよい季節ですね。

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