2016.10.30

龍次郎さんのこと その15 龍次郎さん、中山忠直と出会う

矢中の杜には、龍次郎さんimg_0887が集めた掛け軸や屏風などの絵画作品が残されています。
建具に描かれた杉戸絵などと違い、折々に掛け替えるので、一堂に見る事はなかなか叶いませんが、現在、野沢如洋展を開催中で、野沢如洋の作品が数々展示、公開されています。

展示している掛け軸の中の一つに、中山忠直からの贈り物であるという箱書きのあるものがあります。龍次郎さんと野沢如洋画伯との接点は、この中山忠直さんにあったのではないかと思われるのです。

中山忠直さんは明治28年、石川県金沢生まれの昭和期の詩人で思想家。漢方学者としても活躍したなかなか強烈な個性の持ち主だったようです。著書の『漢方医学の新研究』(昭和2年刊)が大人気となり、一躍漢方界の救世主的な存在となったのだそう。詩作をするとともに、野沢如洋画伯を師として絵を描き、「孤高の画家 野沢如洋」を世間に再評価させたのです。そういったご縁で野沢画伯の掛け軸を龍次郎さんへの贈り物とされたのでしょう。

同じく昭和2年に発刊された中山忠直著「日本人に適する衣食住」には龍次郎さんのことが紹介されており、その序文では、

「予の中心思想に対して、最も大なる影響を与へし人々を列挙すれば、理学博士川村清一、防水学者矢中龍次郎、石塚式食養法の創始者石塚左玄氏を挙げねばならぬ。」

とあります。この本が出版されたのは龍次郎さん満49才、中山忠直さん32才の時。この中山さんを介して野沢如洋画伯を知ったのか、お互い野沢如洋画伯好きで話があったのか。その辺りは判りませんが、間違いなくつながりがあって、お互いを評価していたのだなあと、胸が熱くなります。

「日本人に適する衣食住」の中には龍次郎さんのお若い時のお写真が大きく掲載されており、現在「如洋画集」とともに、展示しています。いつも矢中の杜で見る写真とは違い、若々しいお顔にちょっと照れてしまいます。

現在展示を行っている野沢如洋さんも反骨の画家、孤高の画家と言われる逸話の多い方。
龍次郎さんの周りには何やら濃い人が多いなあと、思わずにはいられないのでした。

野沢如洋展は、11月5日(土)、6日(日)、12日(土)、19日(土)です。
11月3日は「めでたづくし文様帖ワークショップ」開催のため、邸宅見学はありませんのでご注意ください。
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ナカムラ

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