こんにちは。
引き続き、理事長の井上です。
前編では、どうして新たにリーフレットを製作するのか、その背景について書きました。
後編では、具体的にどのようなことをしているのか、お話したいと思います。
リーフレット製作の意義をきちんと汲み取った上でデザインをお願いできる方、そう考えたときに思い浮かぶのは、初代リーフレットを製作した時にもいろいろとアドバイスをくださった、筑波大学の原先生でした。
原先生が主導してくださったデザインワークショップがとても面白く、8年経った今でも鮮明に覚えているほどです。
原先生にご協力をお願いしたところ、快諾してくださり、今回のリーフレット製作でも楽しいデザインワークショップが実現しました。
すでにNPO内で行ったのが、2回のデザインワークショップ。
1回目のワークショップは、参加メンバーが矢中の杜に関して抱いているイメージを「言葉」で共有するものでした。
中でも「穴埋め問題」が大変面白いのです。
矢中の杜は、
一言で言うと______です。
_________な人に、
_________を通じて、
_________をもたらし、
_________という気分にさせます。
という問題を、各自で書いて発表したのですが、表現や言葉の多少の違いはあるけれど、なんとなく言っていることは皆共通していたのです。
それは、矢中の杜はただの豪邸には留まらない、どこか“変(=偏、ミステリアス、二面性のある)” な魅力があるということ。
「安らぎや居心地のよさ」と「ワクワクや大人の知的好奇心を刺激する」部分が同時に味わえることだったり、
「昭和」だけど「ただの昭和レトロに収まらない」面白さだったり。
そしてそれはきっと、好奇心旺盛で晩年までチャレンジ精神を発揮していた施主の矢中龍次郎さんの魅力にもつながるのだろう、と。
そういう“一筋縄ではいかない”部分に魅力されて集まっているのが、私たち守り人なんだね、だからちょっと変わった人が多いんだよ、なんて笑い合ったりもしました。
この穴埋め問題は、初代リーフレット製作時にも全く同じことを行ったのですが、その時と今回と両方参加したのは、実は私だけ。
なので、私には、初代と今回と、メンバーの回答の比較してみることも、また面白い点でした。
初代の時は、ある意味、もっと真面目といいますか、堅い回答が多かったのです。
文化財として守る!とか、新しいライフスタイルを提案する!とか、地域文化を再認識する!など。
もちろん、現在のメンバーの考えと共通する部分も多々ありますよ。
ただ、当時は邸宅の調査もまだ進行中で、邸宅の全容を把握しきれていない中で、矢中の杜について考えていた段階だったので、まだまだメンバーの知らない魅力が眠っていたわけです。
活動を続けていく中で、その眠っていた魅力が少しずつ表に出て来て、もっともっとここにはいろいろな魅力があるんだということがメンバーの中でも浸透していったんですね。
今回のワークショップでは「矢中の杜は大人の秘密基地だ」なんて言葉も飛び出しました。
そんな遊び心も加わって、ますます面白い。
この比較を楽しめるのは、私の特権かもしれません(笑)
そして2回目のワークショップは、「ビジュアルワークショップ」。
1回目に言葉で表現したことを、今度は視覚的に考えてみようという内容です。
こちらのワークショップについては、7月19日のブログ記事で投稿していますので、そちらをご覧いただければと思います。
このワークショップでも、写真を選んだ時のキーワードとして、「意外性のあるエッジ」「凡人ではない発想」「建物は古くても流れる時間はよどみない」「洗練されていて、手に馴染む」などなど、これまた一筋縄ではいかない面白さのある写真たちが並びました。
この2回のワークショップを経て、これから具体的にデザインと記載するコンテンツを考えていく作業になります。
一体、どのようなリーフレットが誕生するのでしょうか?
私たちにもまだわかりません。
リーフレットは10月28日から開催される「筑波山麓秋祭り2017」より配布開始を予定しています。
楽しみにしていてください!
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8月12日(土)は夏季休館日のため、邸宅公開はお休みです。
次の公開日は8月19日(土)となります。
皆様のお越しを心よりお待ちしております。