2016.09.03

矢中の杜活動史 第5回—文化財にできるんだ?

ブログをご覧の皆さま、こんにちは。
“矢中の杜”の守り人、前理事長の早川(公)です。

この連載記事はteraこと寺尾くんと交互に書いているわけですが、
やはりよく知った間柄なれど再発見があるとしみじみ思います。
私がとても印象的だったのは、

ところで、拭いたり洗ったりする作業をすると、その部分を見る時間も長くなります。
建具を拭いたり、電球の傘を洗ったりするうち、その部品を観察することにもなります。
そうした作業や、参加者どうしの会話で、邸宅の新たな姿に気づいたりもしました。
欄間の形が場所ごとに全然違っていて細工が非常に細かいこと、細かなところまで無双窓になっていることなど、掃除を通して発見したものです。

の部分です。
確かに、「掃除」ってきれいにするだけじゃなくて、対象を「よく視る」ことにつながっていました。
「参加者どうしの会話」という部分もそうですね。
掃除は一日仕事なので、お昼も一緒にメンバーで食事を摂ります。
その際に、

「箪笥の取っ手、あんな風になってたんだね」
「そう。でも別の部屋のは○△■×になってたよ」
「そうなんだ~、気が付かなかったー」

みたいなやりとりが為されていたのを思い出します。
こうした経験が、旧矢中邸の価値を見出していく、という活動の原点だったのかもしれないですね。
あらためて、寺尾くん、ありがとう。
…と、たまに往復書簡のようにやりとりを進めていくこの連載記事ですが、
先日は文化財の話が出てきて、ぼくが吃驚したところまででしたね。

皆さんは「文化財」って聞くと、どんなイメージを持つでしょうか。
ぼくは、その筋の専門家が委員会でも開いて認定をする、くらいの認識しかありませんでした。
(間違いではないのでしょうが、不十分です。)
まさかぼくたちがそんな文化財の登録作業を携われるとは思ってもみなかったのです。

松浦さんの話をもう少し聞いてみると、文化財にも種類があって、
そのなかでに「登録文化財」という区分があることを聞きました。

「国指定」や「市指定」しか知らない自分は、そんな制度も初耳だったのです。

そして、当時松浦さんが所属していた筑波大学大学院の世界遺産専攻は、
文化財の保存について体系的に学べる、国内でもユニークな大学院でした。
その先生や研究員の方が仲間になってくれるかもという話を聞いて、
オヤシキをどうしていくか、という漠然とした思いが、「文化財への登録」という
具体的な目標を描くことになるのです。

まずは文化財の登録を目指す。
その後はどうなるのか。
そのあたりの話は、次回のぼくの更新の時に。


次回の邸宅公開は9/10です。
邸宅吹き抜ける、秋を気配を運ぶ風を体感するのはいかがでしょうか。

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