龍次郎さんのこと その34 龍次郎さんと春邦さん
龍次郎さんのこと その33 ー龍次郎さんと家事
龍次郎さんのこと その32ー龍次郎さんと衛生

龍次郎さんの書かれた文章や、記事を見ていくと、「公衆衛生」という言葉や考えが度々出てくることがわかります。公衆衛生とは、人が健全に生活できるための社会活動のこと。龍次郎さんが生きた時代、公衆衛生への対策は近代化の大きな柱の一つでもあり、病気から個人や社会集団を予防するためのシステムとなったのです。「衛生」という言葉は、一種の流行でもあったのだそう。
明治以来、国内でコレラが流行するなど、海外からやってきた新たな病原菌への対策が必要となり、何よりも文化的に西洋に追いつくよう、西洋風の公衆衛生の考え方が取り入れられたのだそう。新しい概念である「衛生」を広く人々に宣伝するための啓蒙機関として明[……]
龍次郎さんのこと その31 ー龍次郎さん、荏原へ
龍次郎さんのこと その30-龍次郎さん、冬を過ごす
【修正】龍次郎さんのこと その29
龍次郎さんのこと その28ー龍次郎さん、夏を考える

暑い日が続いています。加えてこの湿気!
日本の夏の特徴とはいえ、今年は格別なようです。
矢中の杜にはクーラーがありません。その代わり、湿気をためこまない工夫が建物全体に施され、さらりとした空気と吹き抜ける風が涼を感じさせてくれます。
満州で私立化学研究所をおこした龍次郎さん、その後日本に戻り、大正10年に油脂化工社を設立。セメント防水剤「マノール」を引っさげての帰国ですが、そのきっかけの一つとなったのは日本の気候、特に夏の多雨多湿の気候です。
以前もご紹介した龍次郎さんの著した冊子「風土と建築」にも、防水、防湿がいかに日本の建物にとって大切かが切々と訴えられています。
人体への影響、貯蔵[……]