2017.06.22

龍次郎さんのことーその26 龍次郎さんの本棚 

矢中の杜は、昭和の邸宅として、豪華な姿を見せてくれますが、なぜだか妙に居心地がいいとよく言われます。その感覚の元になるのは、当時の調度品がそのまま残されていて、暮らしが垣間見えることにあるのではないでしょうか。

本館にある書斎には本棚が二つあり、中には本も残されています。
通常は非公開ですが、本棚を開けて、まず目につくのは将棋と囲碁の本。
特に将棋に関する本は「将棋大観 上・下巻」「これを読めば必ず強くなる 最新将棋必勝法」「将棋一路」「将棋の急所(平手編)」などなど数冊見つかります。

 これら全てが龍次郎さんのものなのかどうかは、わかりませんし、ご家族の本かもしれません。

ただ、例えば「これを読めば必ず強くなる 最新将棋必勝法」は昭和24年の発行ですから、龍次郎さんが手に取られたと思いたいところ。龍次郎さんは将棋がお好きだったのではないか。想像してみると、とてもお似合いのように思えます。

本のタイトルからして、まさに趣味で行う将棋にもってこいの本。著者の木村義雄名人は、他を寄せ付けぬ圧倒的な力を誇り、「常勝将軍」と呼ばれた名人で、将棋界初の紫綬褒章を受けられた方。矢中の杜の本棚にもある「将棋大観」は、不朽の定跡書と言われるほどです。一般の将棋ファンからの人気も高かったに違いありません。

龍次郎さんが、木村義雄名人の「これを読めば必ず強くなる 最新将棋必勝法」を読みながら将棋の作戦を立てていたかと思うと、失礼ながら可愛らしくさえ思えます。

平成26年夏、矢中の杜で小中学生の将棋大会(その名も龍次郎杯!)が開催されました。龍次郎さんが手に取った必勝法は、今の将棋好きの子供たちにどのように映るのか、聞いてみたかったなあと今更ながら思います。
初夏の涼しい風の中で、盤を前に、必勝法を見ながら将棋に挑む龍次郎さんが想像されて、何やら微笑ましい気持ちになってくるのでした。

次の公開日は6月24日(土)です。
涼しい風が通る邸宅に是非おいでください。

ナカムラ

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