2023.11.30

【守り人育成講座を開催しました】

11月19日(日)、「守り人育成講座」が開催されました。
重要文化財になったことを機に、色々な変化があり、目まぐるしい状況でいます。
課題も多くある今、もう一度初歩から、改めて文化財の保存活用について学ぶ講座です。

今回の講師は小林直弘さん。
なぜ残すのか、なぜ伝えるのか、何を伝えるのか、という問いから、保存活用について考えていく講座になりました。参加した守り人は14名。スクリーンに資料を映して、講義をしていただきました。

小林さんは矢中の杜の当初の守り人のおひとりで、最初の建築物調査をしてくださいました。文化財保存学(建造物)・日本建築史を専門に研究されていて、東京藝術大学大学院の学術インストラクラーでもあります。

歴史的建築物とは何か、文化財保存の歴史や保存修理の基本姿勢や原則、倫理観など、矢中の杜を例にしてわかりやすく解説をしていただきました。
普段漫然としていた部分が明確になり、思わず背筋が伸びました。

文化財保護法の第1条には
「この法律は、文化財を保存し、且つ、その活用を図り、もつて国民の文化的向上に資するとともに、世界文化の進歩に貢献することを目的とする。」
とあり、「保存」と並行して「活用を図る」ことが基本とされています。
保存は「オーセンティシティー(真正性)」の保持が理念であることを踏まえながら、保存活用の意義を考え、時代の要請に適合する活用をしていくこと。

基本になる考え方を知り、それをふまえて、どこを、どの程度、どのように、何のために修理するか考えて「実践する」ことが重要。という内容でした。
確かに全てを基本通りに忠実に、と考えるばかりに動けなくなる、といったことに陥りやすいだろうなと実感します。

これから基本的な理念や方針を理解しつつ、どのように活用をしていくか、どのような保存修理をしていくかを考えていくことに。
矢中の杜を、そして周囲をよく観ながら、何を伝えていくべきなのかを探る。難しい課題ではありますが、しっかりとらえていきたいと思います。

後半は、もう一つの具体的な課題である「防災計画」について、敷地や建物の出入りはどうなっているか、どこからどんな原因で火が出る可能性があるか、など具体的に見つけていく作業も。
色々な視点から、くまなく見ることが、危険の察知に繋がるのだと実感しながら講座は終了となりました。

今後も何度かに分けて講座をしていただけることになり、心強くありがたいかぎりです。

まずいますぐできる基本の実践は掃除。一番身近な掃除で、いつもと違うところがないか見つけること。
日常的な作業は、やっぱり大切です。

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