2016.06.19

龍次郎さんのこと その3ー龍次郎さんと油脂化工社

龍次郎さんが満州で建材の研究家として成功し、東京に「油脂化工社」を起こしたのは大正10年。
「セメント防水剤はむしろ多雨多湿の日本でこそ必要である」
と考えて、満州で発明がなったセメント防水剤「マノール」を引っさげての起業です。

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マノールカタログ(旧版)

その油脂化工社、現在は株式会社マノールに社名を変更して事業をなさっています。

油脂化工社の設立から95年。その前身の私立化学研究所(満州において明治43年設立)から数えるとなんと106年。

長い年月にわたって存続する会社を作り上げたことは、信念、才覚、良い仲間や運なども必要だろうと思われ、とてつもなくすごいことだなあと思うのです。(もちろん、現在も続く、会社の方々、関係者の方々のたゆまぬ尽力があってのことです。)

その上、セメント防水剤「マノール」や着色剤「山富貴酸化黄」は、現在も現役として活躍する建材商品なのです。

これらを発明考案したのはもちろん龍次郎さん。商品が長く続くものであったことは、現在の「矢中の杜」の修繕にも大きく影響しており、建築当時と同じ材料、同じ会社に施工していただけるのは、大変貴重なことであって、誇らしい気持ちになります。

東日本大震災で補修が必要になった外壁を着色剤「山富貴酸化黄」を使って修繕しました。本館西側の外壁(一部)が昨年修繕した部分。通常の見学コースには入っていませんが、どうぞ覗いてみてください。龍次郎さんが「いいものが残るのは当然の事だ」とばかりに笑っておられるように思えます。

その2でも書いた通り、龍次郎さんは小学校卒業後、東京に上京されました。龍次郎さんの数ある特許の中で、一番最初に出願したものはセメント防水剤「マノール」で、特許出願がされたのは大正9年。この出願だけは、記載されている龍次郎さんのご住所が現在の矢中の杜と同じ(筑波郡北条町94と記載)で、やはり歴史のスタートはここなのだなあと嬉しくなるのでした。

手ぬぐい展2016が始まりました。今週の公開日は6月22日(水)と25日(土)です。縁起物の手ぬぐいのほか、型染め用の型紙も合わせて展示中です。皆様のお越しをお待ちしています。

ナカムラ

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