2016.07.10

龍次郎さんのこと その6ー龍次郎さんとその姿

IMG_0280矢中の杜には、龍次郎さんが実際に使われた家具・調度品、電気製品や小物類が、残されています。建物や庭だけでなく、これらの生活用品も見どころの一つです。本館の居間にはオリジナルデザインのタンスがあり、その中には龍次郎さんがお召しになられた背広や和服、ネクタイなどが。(通常は非公開)

上野松坂屋で仕立てたらしい背広を見ると、お腹周りがゆったりとしているのがわかります。揃いのズボンも、サスペンダーを使うように仕立てられており、お腹周りに優しい仕立てのよう。

IMG_3910昭和27年8月の日刊建設工業新聞のに掲載された記事は、矢中の杜竣工間近にインタビューされたものです。龍次郎さんの写真を見ると、矢中の杜の玄関前で撮られたもので、欅造りの玄関周りや玄関前の槙の木が確認できます。右手にうちわを持った涼しげな和装で、かなり恰幅が良く、堂々とした体格で、お顔立ちも福々しい。

記事の中にも記載があるのですが、吉田茂元首相と似てらっしゃると当時から言われていたのだそう。今でも、邸宅のガイドをしていると、龍次郎さんの写真を見た見学の方から、「吉田(元)首相に似ているね」と言われることがあります。

奇しくも吉田元首相は明治11年9月生まれ、龍次郎さんは同じく明治11年5月生まれで同い年。明治・大正・昭和と激しい時代を生きられたのだなあと思うと、その人生にますます興味が湧いてきます。

矢中の杜にある龍次郎さんの写真は、ニコニコされたお写真が多いのだけれど、その頃の時代や社会情勢を想像しながら改めて見てみると、貫禄があり恰幅もいい龍次郎さんは、実際にはちょっと近づきがたいような雰囲気があったのでは、とも思えるのです。

当時近所の子供からは、密かに「ぽんぽこ親父」とあだ名をつけられていたのだそう。子供の秀逸で遠慮のないネーミングに感心しつつ、北条の街を歩く龍次郎さんを想像してみるのでした。

矢中の杜、次の公開日は7月16日(土)です。夏の矢中の杜の過ごしやすさを体験してください。手ぬぐい展2016には多くの方にお出でいただき終了いたしました。ありがとうございます。

ナカムラ

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