矢中の杜には南部春邦画伯による杉戸絵があります。
そのうち別館迎賓棟食堂にある杉戸絵は全部で7枚。壮観です。
実はこの夏、そのうちの一枚を一部修復しました。
向かって左から2枚目。葉鶏頭の茎の部分です。
この部分、他のところと違い、板の上に、茎の形の通りの和紙が貼られ、その和紙に色が付けられていました。
その和紙が浮いてしまい、このままでは絵の具の剥離なども起こりそう。
日本画の先生にアドバイスをいただいて、修復です。
建具を平置きにして、修復部分以外を養生、浮いてしまった部分をごく軽く霧吹きでしめらせて柔らかくし、でんぷんのりで板に優しく貼り付けます。
夏休みを利用して、平置きのまま乾かして終了です。
8月の暑さの中、汗を落とさないよう、他の部分に触れないよう、息を止めるような作業になりました。
和紙部分の下には杉板の割れが確認されました。
この割れに対処するために杉板の上に和紙を張って仕上げたのではなかろうかと思われます。
最初に守り人が和紙の浮きを見つけた時には、
「もしかして南部春邦さんが、ちょっと間違えて修復するための和紙かしら」
と思ったのですが、杉板の状態に合わせての技であったかと、改めて感服したのでした。