2019.01.24

本の紹介「「まちづくりのエスノグラフィー(つくば)を織り合わせる人類学的実践―」

こんにちは。「NPO法人“矢中の杜”の守り人」理事長の井上です。
この度は、ある本の紹介です。

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「まちづくりのエスノグラフィー(つくば)を織り合わせる人類学的実践―」春風社発行。
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当NPO初代理事長であり、現在は大学教員である早川公さんの初めての単著です。
早川さんにとって記念すべき本であることは間違いないですが、私にとっても、特別な本でもあります。
「謹呈」と書かれたこの本を受け取ったとき、何だか涙が出そうな気持ちになったのです。
なので、今回は長くなりますが、この場を借りて、私なりに紹介させていただきます。

この本は、人類学という分野の学術書になりますが、そのフィールドワークの舞台となったのがつくば市北条地区です。そう、「矢中の杜」もある、北条のまちです。
今でこそ北条の様々なまちづくり活動は周囲にも知られてきましたが、今のまちづくり活動につながる、まさにスタートダッシュの時期をこの本はとてもとても丁寧に綴っています。
今の北条のまちを知っている方には、とても興味深い内容かと思います。こういうスタートを切って、北条街づくり振興会が立ち上がり、北条ふれあい館がはじまり、北条米スクリームが生まれたのか、と。(なお、矢中の杜の活動や、大震災、竜巻については触れられてはいません。その前の時期です)。

私はというと、まさのそのスタートダッシュの渦中にいた一人であり、実際本の中でも度々登場してはいろいろ発言したり行動したりしているので、かえって客観的に読むのが難しかったのですが(笑)。当時の情景がありありと蘇り、感慨深いものがありました。

でも、涙が出そうになったのは、当時を思い出して感慨にふけったからではありません。

早川さんのフィールドワークに同行し、学生有志として北条のまちづくりを共に楽しみ、共に悩み、苦労した私にとっては、早川さんの研究、そして北条(あるいは筑波山麓地域)に臨む姿勢には、学ぶところ、刺激を受けるところが多々ありました。
何より、どういう状況になろうとも、研究者の道を目指すという志を貫いてこられたことに、尊敬の念しかありません。

実をいうと、早川さんの選択を素直に応援できない時期もありました(早川さん、すみません…)。
でも、今、早川さんからこの本を贈られたとき、そういった長年の悲喜こもごもをすべて含めて、まさに一人の人間の魂が込められた結晶を受け取ったように感じました。

早川さん、出版おめでとうございます。
心より、おめでとうございます。

皆さんもよければぜひ、読んでみてくださいね。

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