2016.08.14

龍次郎さんのこと その10ー龍次郎さんと矢中の杜

「矢中龍次郎さんはどんな方だったのか」
興味を持ち出してからまず最初に調べたのは、「龍次郎さんの生きた時代にはどんなことが起こっていたのか」です。

明治11年のお生まれから昭和40年にお亡くなりになるまで、年ごとに起きたことを調べていくと、戦争(しかも4度!)、不況、暗殺、などなど、不穏な事柄がとても多い。歴史上のことと思っていたことが、矢中の杜を建てた方が生きた時代そのものであったかと思い、改めて衝撃を受けたのです。

IMG_0170矢中の杜を見ていると、豪華さの他に、建て主である龍次郎さんが、とても楽しんで作られたのだなあということが伝わってきます。そこここに、龍次郎さんのこだわりと挑戦が感じられる。建てられた時代の重苦しさと建物から受ける楽しさのギャップに驚きます。

想像も追いつかないほどの激動の時代に生きた龍次郎さんが、その時代の中で、どんな思いで矢中の杜を建築したのか。
厳しい時代を自力で切り開き、事業を起こし、建てられる建物は国民のためと思い活動された。その上で、還暦から建て始めた矢中の杜は、ワクワクする楽しい邸宅となった。暗い時代であっただろう時期に、なぜこんなに楽しい邸宅を建てられたのでしょうか。ひしひしと興味が湧いてきます。

邸宅が使われなくなってから40年ほどの空白の期間がありました。その空白の後、龍次郎さんのひ孫とも言えるような若者たちの気持ちを揺さぶり、保存と活用に向けた取り組みが始まったのは、龍次郎さんが残した矢中の杜の魅力あってのことでしょう。その魅力とは一体どんなものなのかは、個人個人で感じるものが違うのだと思え、多様な魅力を持つ矢中の杜にますます敬意を感じるのです。

IMG_03731000年もつ住宅として建築された矢中の杜。もしも、矢中の杜はこれからどんな風にしていったらいいのでしょうね、と龍次郎さんに質問をしたら、「思う通りにやったらいいだろう」と言われるような気がして、これからに思いをはせるのでした。

次回の公開は8月20日(土)です。
夏休みも後半。どうぞ皆様でおいでください。楽しい邸宅がお迎えします。

NPO法人”矢中の杜”の守り人の立ち上げメンバーによる「矢中の杜活動史」もブログ連載が始まりました。ぜひご覧ください。

ナカムラ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です